「iPhone売らないとヤバい」という元販売員のライターの記事を見た元販売員の感想

TAKASHIです。

ITmedia Mobileに「『iPhone』売らないとヤバい--元店員が振り返る、思い『販売ノルマ』」という記事が掲載されています。

記事内容は、

  1. 概要:iPhoneは売らないとヤバい代物
  2. iPhoneが何をもせず売れるのは昔の話
  3. 展示もiPhoneだけ特別
  4. 止めるに止められないiPhone依存

といったもの。

それぞれの見出しについて、私の感想を書いていきます!

概要:iPhoneは売らないとヤバい代物

しかし、販売店の内側にいるとまるで世界が変わります。iPhoneは「売らないとヤバい」代物なのです。

にわかには信じ難い話かもしれませんが、筆者も長らく携帯電話の販売に関わってきた中で、iPhoneの販売台数を必死に追いかけたことが何度もあります。

だいぶ前の報道でAppleとiPhoneの取り扱いに契約を結ぶ際に具体的にどのぐらい売るというような取引が必要というようなことがありました。

こちらは、すまほん!!さんの「iPhone取り扱いのためにドコモが呑んだ販売ノルマが判明 落ち込む国内勢」の記事に詳しく書かれており、ここでは新規契約の4割をiPhoneにするとされています。

iPhoneが何をもせず売れるのは昔の話

以前ならば「他社からの乗り換え」(MNP)でiPhoneが安価に購入できるキャンペーンが多数実施され、さらに月額料金も一定期間大幅に安くなることもあり、新型モデルの発売前であっても、ノルマの達成は容易でした。

しかし、今の市場は

携帯電話番号ポータビリティでの購入を過度に優遇してはならない(総務省主導)
スマートフォンの買い替えサイクルが長期化している(スマートフォンの成熟)
普及しつつある格安SIMへの乗り換え(低廉化志向)
といった状況で、以前に比べノルマ達成のハードルが高く、販売店はこれに苦しめられています。

私が働いていた店舗では、来客して端末を購入するお客さんは8割は指名買いでiPhoneでした。

私が居た頃はいよいよ格安SIMが普及し始める黎明期ということもあり、新しいiPhoneが発表されればそれぞれの機種・色で予約票をまとめているファイルがいっぱいになりましたので問題はありませんでした。

それに、発売直後に飛びつく人、新しいiPhoneの熱が収まってから購入する人など、様々なお客さんがいたので、需要は安定していました。

ただ、以前私が勤めていた携帯販売代理店の会社の人と会った時には全然予約がないという話はしていましたし、来客自体もかなり少ないという話もしていましたので、だいぶ環境が変わってきているようです。

フルモデルチェンジとマイナーアップデート(無印→S)と2年単位で行っていますが、このサイクルも難しくなってきているようですね。

また、iPhone自体も高額になってきているので、発表時に○○〇ドル(日本円で○○〇円)という報道も「高い、まだ今のiPhoneで不都合はないから十分」と思わせるのに一役買っているのでしょうか?

MVNOでiPhoneを取り扱うようになったのも大きいかもしれませんね。料金体系はあちらのほうが圧倒的に安いですし、端末も紛れもなくiPhoneなので動作も安定しています。今まではMVNOはAndroidの取り扱いだけのため、Androidに良い思い出を持っていない人は対象外でしたが、iPhoneであればハードルが下がります。

ちなみに、私が在籍していた頃は新規・MNPはiPhoneよりもAndroidがキャリアが展開する代理店内の優劣を決めるポイントが高く設定されるほどでした。

そうそう、9月13日に予定されているAppleの発表会で私が未だに使っているiPhone 5Sを機種変更させるほどの魅力を持つiPhoneは発表されるのでしょうか^o^

(iPhone SE2はまだですか・・・)

展示もiPhoneだけ特別

iPhoneを取り扱うに当たり、iPhoneは「他メーカーの製品と並べてはいけない」という決まりがあります。例えば、最新のiPhoneとAndroidスマートフォンを横に並べ、性能や機能を比べるといった展示はNGです。

より細かにいえば、掲示できるポスターや展示の装飾、プライスカードまでも専用のものを使うようにいわれています。これらの決まりを守れないと、販売ノルマとは別に、その店舗での取り扱いを停止されてしまうのです。

ショップに入ると入口にドーンと構えているApple什器。

私がいた店舗では券売機も置かないといけなかったため、時折お客さんから「券売機の位置が分かりにくい」というお言葉もいただきました。

Appleの専用什器の導入自体は、Appleの特約店が工事を行うので問題はないのですが、問題はその後。

iPhoneやiPadの展示を更新する際にはApple専用の什器に掲げているグラフィックやiPhoneやiPadのデモ機は自身で取り付けないといけません(万が一iPhoneを固定しているワイヤーを什器内に引き込んでしまった場合連絡が必要になりかなり時間がかかる)。また、Appleは時折「ちゃんと展示されているのか?」を確認するため、店舗に写真を使っての報告を義務付けています。

入口に掲げているポスター、各方向からのApple専用什器の撮影、iPhoneやiPadのデモ機にインストールされているアプリの数、写真の枚数など。

毎回写真の枚数が足りない、アプリのインストール数が足りないで手間取っていた思い出。

プライスカードの件はむしろ私はあのプライスカードの方が好きです。

代理店が「iPhone」というワードを使えないことの方が問題だと思いますが・・・。(iPhone発売時にどの店舗も「話題のスマホ」と言っているのはこの制限のため)

 

ちなみに、iPhone Masterは、iPhone発売日前にAppleから特別なメールが届きます。

止めるに辞められない「iPhone依存症」

それほどiPhoneの取り扱いが難しいのであれば、いっそ止めたらいいのではないかという意見もあります。実際、そのような判断をしたのか、あるいはノルマ未達だったのかは分かりませんが、大手3キャリアを扱っていたケータイショップがサブブランド専門店に業態転換する例も出てきています。

私が在籍していた頃は、ノルマは都市部、郊外型、インショップ(商業施設内の店舗)問わず、同じ台数のノルマが設定されていたと聞きます。

まとめ

私が在籍していた頃は、Androidに比べ、iPhoneの方が料金面(MNP含む)で優遇され、「ノルマ達成のための補助」のようなものがあったため、ノルマ問題はまったく問題になりませんでした。記事に書かれているとおり「売れて当たり前」の時期でしたので。

ただ、販売ノルマは私の聞いた限りでは、地方の田舎や大都市部、インショップ(商業施設内)やロードサイド(郊外の道路沿い)等の店舗形態に問わず、同一台数ということだったので、そういったところは見直してもいいのではないかと思いますね。

Appleも日本の需要が徐々に減りつつあるということは認識しているでしょうし、柔軟に対応してくれればなぁと思います。

ところでiPadのノルマについては?

記事ではiPhoneのことについて触れられていましたが、iPadにもノルマがあります。こちらも、地方や都市部、店舗形態助問わず同一台数です。

Cellularモデル、Wi-Fiモデル問わずのノルマだったので、そこは不幸中の幸いでしたが・・・。

iPadに関しては、在籍の頃から店舗によって未達になりそうなところが会ったため、ありとあらゆる手を使い何とか達成していました(グレーな方法含む)。

こちらもノルマ台数を割ってしまうと「iPad非取扱店」となり、キャリアからも「iPad非取扱店」という対応になるため(インセンティブ面で取扱店と比較して良くない待遇)となるので、必死になっていました。

 

今回Appleの優遇に関して改定されるみたいですが、ノルマを設定するなら、それを達成するためにもそれなりの施策をして欲しいものですね。

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ABOUTこの記事をかいた人

新卒で携帯電話販売代理店に勤めApple認定の「iPhone Master」の資格を取得、しかしそれがピーク。その後色んな会社転々とし、人生を彷徨っています……。